蝋原型
蝋原型
蝋原型
鋳型土つくり
鋳型土つくり
型込め
型込め
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窯入れ
熔解
鋳造
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型ばらし
型ばらし
仕上げ
仕上げ
仕上げ
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着色
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「森」をテーマに、鋳金技法により青銅作品を制作しています。 主に、“真土(まね)式蝋型鋳造法”という伝統技術を独自に解釈し用いています。
下記のような工程を経て、作品は完成します。
蝋で原型をつくる→原型を鋳型材(真土:土や粘土の混合物)で覆う→型を素焼きすると、原型のかたちの空洞が出来る→約1200℃で熔かした青銅を流し込む→型を壊し、金属を取り出す→磨く、叩く、切るなどしてノイズを除去する→薬品と熱で錆を発生させる→部分的に研ぎ出し、金属光沢を出す→コーティング→完成
「真土式」の起源は紀元前にまで遡り、日本では奈良県の薬師三尊像などにこの技術が使われています。私の作品の多くは、これとほぼ同じ工程を経てうまれています。産業としてはほぼ絶滅したと言っても過言ではない技術ですが、この技術でしか得られない土と蝋の混ざり合ったような独特の風合いは、私のつくる「森」に欠かせないものとなっています。また、鋳型に使用した材料のほとんどが、再び別の鋳型として、特殊な処理をせずに再利用出来るというのもこの技術の魅力のひとつです。原始的だからこそ様々な工夫が可能であることなどから、この方法を選択し可能性を探っています。
「蝋型鋳造」は、蝋を金属に置き換えるものです(ロストワックス)。柔らかな蝋を、土の質感を含みながら堅牢な金属に置き換えることで、木々が風に揺れる様や、陽に煌めく枝葉の一瞬の姿を揺るぎないものとして表現しています。また、色彩は“緑青(ろくしょう)”と呼ばれる錆によるもので、自然界の色を青銅の中から引き出すような方法で発色させています。蝋、土、金属、それぞれの魅力を引き出し、森の持つ様々な要素を表現しています。
森と人との中にある正と負の歴史、生と死の存在。そこにあるいくつかの共鳴、いくつもの境界、矛盾すらをも含んだ事柄を見つめること。表層だけ変化しながらも、本質は変わらないまま繰り返されている事柄と向き合うこと、これらが制作の理由の一部です。
闘争の時代を越え、共生の時代すら越えた先にある空虚を受け容れ暮らしていくために、作品や作家としての在り方を日々模索しています。ゆっくりと日々を見つめられるような存在をつくること。直接的に自然へ働きかけるのではなく、創作物を通じて人々の抱える苦しみに光を差すきっかけになれたのなら、それは私にとってこの上ないよろこびです。
↑2019年頃に撮影した森(三重県)